3Dプリンターで途上国の教育問題解決に向かう!ーーアイセック慶應湘南藤沢委員会 村上夏月さん

空間に、樹脂や金属などの材料を、何層にも積み重ねていくことにより、立体造形物をつくる3Dプリンター。

みなさんは、この3Dプリンターが、どこで、何に使われているか知っているでしょうか。

 

 

文房具で有名なゼブラ社では、3Dプリンターで試作品を作ることにより、時間も費用も抑えることに成功しました。

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【アルテック株式会社 文具業界での3Dプリンタ活用例】
http://www.3d-printer.jp/katsuyou/pen/

 

障害により手の動かせなかった子どもは、大きな補助器具しかなかったとき、3Dプリンターで、ちょうどいいサイズもの作ることにより、初めて自由に手を動かせるようになりました。

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【アルテック株式会社 医療業界での3Dプリンタ活用例】

http://www.3d-printer.jp/katsuyou/medical/
http://www.3d-printer.jp/applications/

 

また、アメリカでは、巨大な3Dプリンターを用いて一軒家を建築を目指すプロジェクトも行われており、今後、災害時の仮設住宅や発展途上国の住居問題の解決の可能性も広がると考えられています。

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【CONTOUR CRAFTING】
http://www.contourcrafting.org/
http://o2o.abeja.asia/product/post-6363/

 

このような様々な可能性を秘めた3Dプリンターの最大の特徴は、人が、頭の中に持ったイメージを、現実に作れることだと思います。
イメージを形にする。まさに言葉の通りです。

少し話は変わりますが、いま、東南アジアでは、子どもたちが自分から積極的に学ぶことができていない現実があります。
日本でも、周りからの言葉のみによって学習をしている、受け身の教育が問題視されることがあると思います。

人間の想像力と、機械の創造力を使って、ものを形づくる3Dプリンターや3Dペンを、まだクリエイティビティの発展していない教育現場に導入し、授業の質の向上を図る。

今回は、そんな今までにない海外インターンシップの企画に挑んだ、アイセック慶應湘南藤沢委員会の村上夏月さんにお話を伺ってきました。

 

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ー今回企画した海外インターンシップが目指す、子どもたちの変化はどのようなものでしょうか?

いま、東南アジアの初等教育機関では、講義式で一斉に行われる受動的な教育が行われ、手や頭を十分に活用していないという問題があります。
そこで私たちは、3Dプリンターなどのテクノロジーを活用し、実際に子どもたちが手を動かして体験し、新しい視点を与えられるような教育を取り入れてみようと思っています。
例えば、空気抵抗の勉強をするとして、いろいろな形の小さな車、紙飛行機を教材として使えば、もっとわかりやすくイメージできますよね。
また、いつも学習するときは、ノートと鉛筆で、二次元の空間をベースにしていると思います。
だから、x軸とy軸というふたつの概念はあるのですが、3Dプリンターや3Dペンを使うことによって、z軸という3D概念も発見できると思います。

ー具体的に海外インターンシップではどのようなことをしようと考えていますか?

海外インターンシップでは、事前に3Dプリンターを使って教材を作り現地に持っていく、3Dペンや3Dプリンターを現地で実際に子どもたちと一緒に使ってみるという二種類のことをします。

前者は、インターン生の興味ある分野や社会課題に対して、3Dプリンターで出力した教材を用いて、子供たちに授業を行います。ミニカーや人体模型など、授業内容を設計しながら、必要な教材を作成して持って行きます。

後者は、インターン生が実際に3Dペンや3Dプリンターを用いた授業を行い、子供たちが直接的に立体や3D概念に触れ、学ぶ機会を作ります。
私たちにとっても、例えば牛乳パックは普通縦に立っているけど、作るとなったら面積の大きい側面を下にしたほうがいい。
そんな新しいモノの見方や感覚を大切にしたいです。

ーこの海外インターンシップを企画する中で、悩んだこと・大変だったことはありますか?

東南アジアの貧困地域は、学校がない、ペンがない、紙がない。そんな状況の場所もあります。
その中で、3Dプリンターという新しい技術を導入することに社会的な価値はあるのか、とインターンシップを企画しながら、疑問を感じてしまうことがありました。
学校建設や物資的支援を行わないと、根本的な解決にはならないと思ったんです。

ーその違和感とどう向き合っていきましたか?

周りの人と話しているうちに、「自分はアイセックのインターンシップを考えているんだ」ということに気付きました。
アイセックのインターンシップには、社会問題の解決を目指すだけではなく、共創的リーダーシップの持った人材を輩出するという、ふたつの側面があります。

インターン前の準備から現地でのインターン中、帰国後までの全体を通して、インターン生は新しい学びとスキルを身につけ、様々な感情や思いを抱き、経験を得ます。これまでに大学で学んできた知識や自分の関心事を、3Dプリンターというテクノロジーをひとつの手段として用いて「形」にし、様々な人と協働しながら社会にアプローチする。これが、このプロジェクトの名前「Shape your Knowledge」の想いです。そして、インターン生が今後さらなるリーダーとなっていくことを考えたとき、インターン生の可能性を最大限引き出せるような研修を作りたいと思いました。

そのように、長期的な視点でインターンを考えられるようになると、東南アジアの教育を少しでも変えられるかもしれない、インターン生を成長させられるかもしれない、このインターンシップを継続していきたい、そう思うようになりました。

ーこの海外インターンシップを企画する中で、学んだことはありますか?

周りの人と繋がり、同じ志を持つことで生まれる力の大きさを知りました。
「共感が生む力」です。
そして、それを生むために必要なのは、自ら発信することと行動することだと感じました。

ー具体的に、海外インターンシップ企画前とどのようなところが変わったと思いますか?

もともと人と話すことは好きでしたが、自分はこうしたい、という想いを人に伝えることは多くありませんでした。
しかし、自分の言葉で、自分の描くビジョンを、人に伝え続けていると、いろいろな企業の方から、「ぜひ一緒に実現しましょう」と言ってもらうことができ、最初は自分だけの小さな考えだったことが、たくさんの人と共有する夢になりました。
自分が思っていることと、他の人が思っていることとが繋がったときに、生まれる力は本当に大きなものです。
そして、人と人が繋がることにより、可能性は広がります。
同じ方向に向かっていけることの楽しさ、嬉しさ。
たくさんの新しいことを学びました。

同時に、今まで気付けなかった周りの人の支えの大きさも知りました。
アイセックの同じ委員会のメンバー、企業の方、インターン生。
たくさんの人に支えられ、今があると思っています。

ーこの海外インターンシップを通して、インターン生、現地で教育を受ける学生の理想の姿を教えてください。

インターン生には、このインターンシップを通して、「自分が見つけた課題」を、「自分のスキルや行動によって、解決する力」を持った人になってほしいと思っています。
このバランスってすごく大事で、課題だけ見つけてもスキルや、あるいは人を巻き込む力などがないと解決できないし、逆にスキルはあっても、自分で気付く力がないと、それは活かせないですよね。
だから、このふたつの大切さを感じ、自分のものにしてほしいです。

また、現地の子どもたちにとって、学校は新しく学べることが多く、自ら手や頭をたくさん使って考えたり作ったりすることって楽しいんだと思ってもらったり、3Dプリンターや3Dペンを使うことによって、視野や考え方を広げてあげられたら嬉しいです。
例えば、数学やテクノロジーに興味を持つようになった、将来は先生になりたいと思った、今までは絵しか描いたことがなかったけど立体工作もするようになったなど、子供たちの興味や選択肢、考えや行動の幅が少しでも広がって、楽しく、夢を持って生きられるようになったら素敵だと思います。

ー今後この海外インターンシップをどうしていきたいですか?

私たちは5年後のビジョンとして、現地で3Dプリンターを使える環境、そしてそれを扱える人材が揃っている状態を掲げています。
そこに通う生徒全員が、主体的に動き、自由に発想し、クリエイティブに学ぶことのできる教育環境を整えたいです。
そしてそれは、子どもたちの将来をより豊かにすると思います。

 

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お話ありがとうございました。

日本の教育にも触れましたが、詰め込み教育が問題になり、知識より、豊かな発想力や考える力を身につけようと始まったのが、ゆとり教育でした。
2002年に土曜日が完全に休校となったのも、休みとなった時間に、自分で学習してほしいという意図がありました。
しかし、その時間が有効に活用されず、学力低下などが問題視され、現在脱ゆとり教育という方針となっています。

教育に関する問題が数多く存在する中で、私たちにできることは、今起こっている問題を、過去から学び、様々なアプローチを考えていくことだと思います。
そして、ひとりひとりがしっかりと意見を持ち、発信し、ひとつずつでも行動を変えていくことが、問題解決への第一歩につながると考えます。