スラムの馬人形作り、アーティ【おかりな、インド人に密着してみたvol.3】【海外インターン体験記】慶應義塾大学 長岡里奈

インドにて5ヶ月間滞在中のおかりなです。

「インド人に密着してみた!」の連載では、「インド人に密着」することで、インクレディブルなインド人の知られざる一面を発信していきます!

今回は、4月からずっとお世話になっているスラムの一家についてお届けします。

インドにはスラムがたくさん

インドと聞くと真っ先に「貧困」の二文字が頭に思い浮かぶ人も多いのではないかと思いますが、やはり、インドで生活していると、至る所にスラムを見かけます。

スラムとは、土地や家を借りずに、国が保有している土地や空き地などに不法に住んでいるエリアのことです。煉瓦造りの簡単な家や木と布やブルーシートなどで作った家がほとんどで、暑さや寒さ、雨から身を守るには完全とは言えません。もちろんトイレやお風呂はなく、スラム一帯で共用の水道から水を汲んできてそれぞれの家で使っています。

私の家の近くにもスラムエリアがあり、4月から今まで通い続けた結果、ある一家と仲良くなりました。今日は彼らについて、紹介します。

仲良くなったスラムの一家

今回のターゲットは「スラムの馬人形作りを営む、アーティ」

まだジャイプールに来て間もない頃のお話です。滞在しているお家からインターン先まではバスで30分ほどなのですが、道中になにやら馬のような赤い人形が並べてあるのを発見しました。気になって後日訪れてみると、そこはスラムで、手作りのテントに住みながら馬の人形を作って売っている、50人ほどのコミュニティだったのです。

コミュニティの人たちは、突然訪れた私を快くもてなしてくれました。彼らのほとんどは英語が話せないため、私の拙いヒンディ語と、英語を少しだけ話せる女の子アーティの助けと、Google翻訳の力を借りてコミュニケーションをとります。

話していくうちに、彼らは馬の人形を作り、それを道や市場で売って8人家族で一日200ルピー(340円ほど)を稼いで生計を立てていることがわかりました。お父さんと弟が藁を馬の形にまとめ、アーティ達3姉妹とお母さんが藁に布を縫い付けて、レースで装飾します。合計6人の子供達は近くの無償の公立の学校に通っていますが、高校や大学への進学は金銭的にできません。アーティは現在18歳で、今年10月に両親が見つけた許婚と結婚するのだそうです。相手の職業はマジシャンだと聞いて、どんな人か心配になったので、許婚と電話で話してみると、英語をしっかりと話せて、気さくなインド人で安心しました。

このような馬の人形を作っています。

貧しい=不幸せ?

経済的に貧しいというと、可哀想だとか幸せじゃないとか勝手に決めつけてしまいそうになりますよね。でも、彼らは金銭的に貧しいにも拘らず、「貧しいから不幸せだ」ということもなく、いつも笑顔に溢れていて、楽しそうで、私にチャイやご飯を振舞ってくれるくらい他者への優しさに満ち溢れています。

彼らは家族同士とても仲が良いだけでなく、コミュニティ内の他の家族とも親密な関係で、協力しながら、時には喧嘩もしながら(一度女同士の殴り合いの喧嘩が始まって怖い思いをしたことがあります)、支え合って生活しています。

そして、彼らの言動の節々から、彼らが自分自身と自分の仕事に誇りを持っていることを感じることが多いんです。

周りの人を大切にしながら、支え合いながら生活し、そんな自分自身に満足しているからこそ、心が満ち足りた状態で幸せそうに見えるのだと思います。

いつでも楽しそうに迎え入れてくれます。

それでも、「貧困」は壁になる

だったら貧困でもいいじゃん、と思ってしまいそうになりますが、貧困によって物理的に困ることが非常に多いのも事実です。

例えば、病気になった時。アーティと結婚の話をしていた際に、「ここ半年、生理がきていない。5つほど病院に診察してもらったけど、治療費が10,000ルピー(約1.7万円)と言われて治療できなかった。結婚を控えているため、フィアンセに知られる前に治療したい」と相談されました。あまりにも治療費が高すぎることに疑問を抱いたので、一緒に別の病院に行ってみたら、診察料と薬代合わせて200ルピーほどで、その上薬を飲んで10日で生理が来るようになったのです。このように、貧困が原因で十分な知識や判断力がない場合、病院から騙されてしまうことも多いです。それに加え、この1回の診察料と薬代200ルピーは、8人家族で1日に稼ぐお金と同じ額で、彼らからしたら大変な出費でした。

また、もう一つ「貧困」が壁になる例があります。私がスラムに通う中で、一度だけ物をせがまれたことがありました。それは「サボン(ヒンディ語で石鹸)」です。彼らは身体や手を洗うときに、通常の石鹸は高くて買えないため、安い衣服を洗う用の石鹸を使っています。そのせいで、肌が傷ついてしまったり、石鹸で使わない選択をすることもあるんです。実はインドには合計70万人が石鹸なしで生活していると言われています。たかが石鹸と思われがちですが、石鹸は子供子供たちを病気から守る重要な役割を担っています。WHOによると5歳未満の死亡者のうち16%が下痢によるもので、肺炎に続いて死亡原因2位となっていますが、この下痢を予防する鍵を握るのが、石鹸なのです。

食事も炭水化物が多めでたんぱく質不足になりがちです。

壁を乗り越えるために、大学生の私にできること

石鹸の重要性を思い知った私は、6月にて市場調査の会社でのインターンを終え、7月からスタートアップにて、石鹸リサイクル事業を始めました。

ホテルでたった一度使われた後捨てられてしまう石鹸を回収してリサイクルし、石鹸が必要な人の元へ届けます。

リサイクルした石鹸

実際にアーティたちに渡したところ、「他の家族から嫉妬された」と言われるくらい、彼らは石鹸を必要としているんです。

この活動を広げるために、今日からクラウドファンディングCampfireにてキャンペーンを行なっているので、興味がある人は是非チェックしてみてください!

 

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