資料と現場から見えてきた、台湾の教育課題と未来【海外インターン体験記】【連載1】大阪大学 田中祐児

はじめまして!

台湾・台中市の公立小学校での海外インターンシップに参加している田中祐児です!

今日は教育に関する台湾と日本の違いについてご紹介したいと思います。

台湾は日本同様、エネルギー資源に恵まれず、海に囲まれています。

そのため、加工貿易によって発展を目指す方法を採ってきました。

また台湾も社会の高齢化という問題に直面しています。

このように日本と地理的・社会的な共通点が多い台湾ですが、国家の根幹を為すとも言える教育ではさまざまな違いがあるのです。

台湾最大の夜市、逢甲夜市(Feng Chia night market)は台中市にあります。

それでは、台湾と日本の教育はどのように異なるのでしょうか。

まず、義務教育期間が日本とは異なります。

日本は小学校6年と中学校3年の9年間ですが、台湾は日本と同じ9年間に加えて、高校に相当する高級中学や高級職業学校の3年間も義務教育です。

しかし、誰でも好きな高級中学や高級職業学校に進学できるわけではありません。

では、「子どもたちはどうやって学校を決めているのか」気になります。

この点について、見学したとある中学校の生徒に尋ねてみると、「5月ごろに行われる統一テストのスコアが良ければ良い学校に入れるし、悪ければ悪い学校に行くことになる」と教えてくれました。

そのため統一テストは重要な意味を持っていて、2月の中頃に見学に行った際には、統一テスト対策のための授業が行われていました。

統一テストの対策をしている中学3年生の英語の授業風景。黒板左端に見えるカレンダーは、統一テストまでの日数を示しています。

「学歴社会」という言葉で日本を形容している様子はよく目にしますよね。

大学を出ているのかどうか、どの大学を卒業したのか(学校歴)が重要視される社会のことを指します。

そして学歴や学校歴が重視されるのは台湾でも同じです。

むしろ台湾の方が日本よりシビアかもしれません。

学歴社会のことを台湾では「升學主義(しょうがくしゅぎ)」と表現します。

文部科学省による学校基本調査によれば、日本の大学進学率は2016年度で54.7%となっています。

これに対して台湾の大学進学率は2006年時点で81.1%とかなり高い水準を示しています。

台湾有数の私立大学、逢甲大学(Feng Chia University)

大学に行くことが日本よりもずっと重要視されている台湾では、子どもたちはかなり早い段階からたくさんの勉強をするよう駆り立てられています。

例えば私を受入れてくれたホストファミリー一家の小学5年生の男の子は、16時に小学校が終わってから毎日19時まで塾に通う生活をしていますが、それは私のインターン先の先生によれば「台湾では普通のこと」だそうです。

そして台湾ではより序列の高い高級中学や大学に入学するため、私立中学への入学を目指す保護者や児童が増えています。

2004年時点での私立中学に在籍している台湾の生徒の割合は9.5%とされています。これに対して日本では、2007年時点で7.1%となっています。

このように台湾の子どもたちは、日本の子どもたち以上に受験や進学へのプレッシャーにさらされていると表現することができるのではないでしょうか。

私のインターン先の重慶國民小学(Chong Ching elementary school)

小学校では毎日のように塾通い、中学校では統一テスト、高級中学では大学進学と、台湾の子どもたちは大変な勉強へのプレッシャーがかけられていることを紹介してきました。

しかしこういった状況に対して、日本の文部科学省に相当する教育部は待ったをかけようとしています。

そうした姿勢が端的に表れているのが、日本の学習指導要領に当たる「十二年國民基本教育課程綱要總綱」です。十二年國民基本教育課程綱要總綱に関するQ&A集を読んでみると、「小中学校において、数学や中国語、英語などの主要な授業の時間を増やし、他の教科を減らすことによって児童生徒の競争力を高めることをなぜしないのか?」という質問が掲載されています。

この質問に対して、教育部は「道徳や知性、体育、芸術や集団生活の5つを兼ね備えた全人教育が重要であるのであって、知育に偏るのは良くない」と回答しています。

保護者らの過度な受験教育熱にブレーキを掛け、未来志向的な市民の育成へとハンドルを切ろうとしている台湾ですが、その道のりは簡単なものではないようです。

 

次回では、そんな台湾での教育実践について、私のインターン先の小学校を参考にご紹介したいと思います。

 

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