【YouthSpeak Forum 2016】
『Why Youth?』ーーパネルディスカッション

2016年10月16日、アイセック・ジャパンは国際連合の掲げる持続可能な開発目標SDGsをテーマとした社会人・学生の登壇イベント「YouthSpeak Forum 2016」を開催しました。本記事では、第4部で行われた『Why Youth?』という若者をテーマとしたパネルディスカッションを取り上げます。

 

▼登壇者

株式会社ハピキラファクトリー 代表取締役 正能茉優様
NPO法人僕らの一歩が日本を変える 代表理事 後藤寛勝様
一般社団法人re:terra lab. 代表理事 渡邉さやか様
mamma 創設者/代表 新居日南恵様
▼モデレーター
NPO法人アイセック・ジャパン専務理事 福村圭祐

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福村:

本当に面白い人が揃っていますね。僕はモデレーターですが、僕以外で盛り上げられればなと思います(笑)。

 

正能:

正能と申します。社会人3年目です。私は大学3年の時、株式会社ハピキラファクトリーという会社を立ち上げました。地方にある、パッケージはダサいけどイケてる商品を可愛くしてパルコ伊勢丹で販売しています。
大学卒業後は、博報堂でプランナーをしていました。そのあと、今月からですが、ソニーで働いています。
私は、副業をしようとしているんです。今日はそういう働きかたについても話せればなと思います。長野の小布施は、栗菓子で有名なところ。そのなかで「栗鹿ノ子」っていう、美味しいのに50~60代のおばさんにしか売れない商品があって。町の人は、若い人向けにキラキラのシールを貼って売ってるんですが、私は「全然売れなくない?」って思ったんです。「じゃあやってみろ」と言われてつくったのが「かのこっくり」。パッケージだけ変えましたが、パルコで2000個売りましたよ。実はその売り子をやってくれたのがひなえちゃん(注:新居日南恵さん)でした。

 

後藤:

NPO法人ぼくらの一歩が日本を変えるの代表理事、後藤寛勝です。今回は女性の中に男一人ですね。なんだか家にいるみたいな感じになっていて、ぐうたらっぽくなるのがきついけど頑張ります(笑)。普段僕は若者と政治をつなげる活動をしていて、政治を語ったり文句言ったりしています。中央大学4年で、94年生まれです。去年は内閣府の地方創生推進室の委員会に入り、地域ブランドをどうするのか考えていました。僕は新潟南高校の出身なんですけど、その地域は若者の政治への関心が低いんです。それで、政治と若い人がつながる場所と機会を作ろうと思いました。高校生のときから政治家になりたくて、受験を頑張っていましたね。ももクロ(注:ももいろクローバーZ)のライブを見て、こんなにも社会を変えて盛り上げてるな、自分は勝ててないな、頑張りたいなと思ってました。選挙権成立したときは、ももクロにやっと勝ったなって(笑)。僕は、高校生と国会議員のディスカッションを開催しています。高校生が政策提言していくんです、200人くらいの国会議員に対して。また票育というのも行っています。イベントだけじゃ、政治への意識は変わらないんです。だから、学校の教室で実現したいと思いました。18歳に選挙権が付与され、若者が政治に関心を持たなきゃいけないというのがスタンダートになってきたときに、学校でできればいいなって。

 

渡邉:

こんにちは、渡邉です。私1人だけ、実はyouthじゃないです(笑)。他の3人プラス10歳ですね。なのでやっぱりキャリアの変遷を話したいです。大学時代は国際協力を勉強していました。11歳に、初海外がネパールで、その後国際協力をやろうとして、大学院も行きました。今やっているのは、JICAや経産省が民間と事業を作ったり、社会課題解決したりするスキームづくりのコンサルなどです。3.11大震災後には、陸前高田で新規事業もやっています。大学院の後にはビジネスを学ぼうとIBMに就職しました。4年後に、一般社団法人re:terra lab.を作りましたが、今は一般社団法人だけじゃなくて会社も持っています。地方創生で熊本や東北、アジアの途上国に関わっています。

 

新居:

はじめまして、慶應義塾大学の新居と申します。1ヶ月前にワシントンD.C.へ行き、日米間の関係を安全保障以外でもつくっていこうということで、日米女性フォーラムに参加してきました。私が大学1年からやっているのは「家族留学」。女性が輝く社会を作りたいんです。これまでは結婚して家庭に入るのが主流と言われていましたが、これからは共働きが主流となります。親が専業だったが自分は共働きというライフコースもありえます。家族留学は、OBOG訪問の家庭版です。250家庭と、共働き家庭のリアルを見てみたいという学生をマッチングします。私自身は、外務省の政策である「World assembly for Women」のアドバイザーもやっています。若者の結婚の希望を叶えると言っているおじさん・おばさんの中で、20代で発言するんです。加藤大臣が声をあげ、結婚・出産・子育てに関わる問題解決のために色々やってらっしゃいます。

ys2016ss4_後藤様

福村:

この自己紹介だけでも尖ってる感じが見て取れますね(笑)。このフォーラムの前にみなさんとお会いしたとき、SDGsにコミットするために事業をやっているわけではないという話をしました。自分自身の興味のあることを追求したがゆえに、こういう形になったよねということでした。好きなことを見つけること自体が難しいと、個人的には思っているので、みなさんがなぜ今のことをやろうと思われたのか、そして継続してこられたのかを話していただきたいです。

 

正能:

まず私は、今から7年前に、国土交通省が主催し約1700の自治体で行われていた地方創生インターンというのに参加することになりました。長野県の小布施町に行くことになったのですが、当時は「まちづくり」という言葉がやっとできた時代で、まだまだ色々な人が色々なことを話していました。道路だけがまちづくりじゃないと町長に打診したところ、じゃあ面白いことをやってみろと言われたんです。私はダボス会議に注目して、同じことをできるのではないかと思い、小布施若者会議を創りました。会議は現在も行われており、日本各地で展開したモデルにもなりましたが、1つ不満なことがあって。
それは、女性の参加者が2,3割と少ないことです。当時は女性がそういったことに参加するという空気ではなく、また地方創生への注目も全くありませんでした。それがとても嫌で、どうしたら女性が地方に興味を持つのかというところから、「可愛いを」入り口にしようと会社をつくったんです。

福村:

後藤さんは新潟出身ということもあり、もともと地方創生もやっていらっしゃったんですよね。正能さんとおふたりを比較することがいいと思うので、ぜひ話していただきたいです。

 

後藤:

話は少し変わりますが、セッション2で、関心がある社会課題は何かという問いがありましたよね。そのとき、参加者のみなさんから答えがバンバン出てくるのにびっくり。後でいっぱい、僕も聞きたいなと思ってました。みなさんにとって政治ってどういう印象ですか?

 

参加者:

難しい。おじさんがやってるような印象です。

 

後藤:

確かに言ってくれたように、「おじいさんおばあさん」とか「めんどくさい・わかりにくい」ですよね。でも僕が17歳のときの政治に対する印象は、「超便利」。これが始まりでした。
僕は新潟市の進学校に通っていました。そこでは、学業以外の得意領域持ってる人もみんな、17歳の時にはその領域での進路を諦めていました。それぞれ、いろんな理由があると思いますし、文句はありません。ただそのとき、農業や教育、ITなどの多様な分野をひっくるめてよくできるのは政治だと思いました。僕自身はそんなに得意分野がなかったけど、政治を取り柄にできたら世の中は良くなるなと思い、政治をやろうと決めました。便利な政治をみんなにどうしたらわかってもらえるのか、若者に対して政治のハードルをどれくらい下げられるか、必死に考えていました。当時、自分の周りに政治の話をする人は誰もいません。僕が政治の話をしたときに、「後藤勘弁して」って言われるのが悔しくて…。でも興味ある子だけ読んで本読んだり、上京してNPOに仲間探しに行ったりした結果、今の仲間が見つかりました。それが僕のきっかけです。

ys2016ss4_正能様

福村:

正能さん・後藤さんのおふたりは地方創生に関わる事業をなさっていますが、渡邉さんはカンボジアの地域という、グローカルな環境で事業をされています。その原体験についてぜひお聞かせください。

 

渡邉:

初海外で行ったネパールで出会った、ストリートチルドレンが私の原点です。大人たちが、11歳の私に彼らを見せないようにしていたことや、飴を「渡す」のではなく「撒く(まく)」というのを聞き、なんでこうなるんだろう?と思うと同時に、ネパールの豊かさとは何なのだろう?と考えました。
そう考えた背景にはきっと、自分の出身も関係しています。私は長野の田舎出身で、コンビニもなく、学校までは歩いて1時間。生活の豊かさとは何なのか、自然と考えることが多かったのだと思います。
ネパールでの体験をもとに、大学・大学院も選び、卒業後は国連に行こうと思っていました。しかしそのとき、いかに1つのセクターの中の人でしか議論をできていないということに気づいたのです。そして、もっとビジネスについて知らなければと考え、コンサル会社に就職しました。入社試験で、「私は3年でやめます」と言ったんです(笑)。今でこそ副業は許されますが、当時はなかなか認められなかったので。
3年が経ち、さらに1年経ったタイミングで震災がありました。それがきっかけで、海外の途上国と日本の地方の課題は似ており、同じように事業開発の必要性もあることに気が付きました。そして私は陸前高田と、ボランティアに行き思い入れのあったカンボジアでもビジネスを始めました。地方も途上国も、私にとっては変わらないもの。一緒にやる人がいればやるっていうだけです。
福村 最後に新居さんにお聞きします。話をお聞きするなかで、現在の経験のきっかけが小さなことであるという意味では、一番私たちに近しい存在なのかなと思っています。そういった観点から自分の原体験を語っていただきたいです。

 

新居:

私もまさに、その近しさを感じています。私は、いわゆる”意識高い高校生”でした。こういう講演会や大学生が集まる学会に行っていました。「色々なイベントで色々な人に会い、色々知りたい」という感じの高校生だったんです。私は「枠にはまってください」と言わんばかりの自分の学校になじめず、学校外に居場所を求め、今やっているような楽しいことをしたいなという思いを持っていました。ただ、みなさんとは違って夢も社会課題への関心もなく、自分のやりたいことが何かを模索していましたね。私も過去に、SDGsについて話を聞く機会がありましたが、壮大で、どうアクションすればいいのかわからないなと感じたんです。でも、やりたいことを明確に語る人がかっこよくて、いつか何かをやりたいなと思っていました。
私は慶應義塾大学に推薦入試で入りました。なので志望理由書を書いたんですが、そこで自分が何の社会課題を解決したいか書かなくてはいけませんでした。大体の子は「カンボジアの貧困を」とか「政治家で日本を変えたい」とか。自分にはなかなか見つからなくて悩んでいたら、友達に、「あなたは難しい課題を考える必要はない。そういうタイプじゃない」「一番誰よりも日常的に考えている悩みとか課題認識を紙に書いてみなさい」と言われて。
私は双子なんですが、自分と比べては自信をなくし、すごく悩んでいました。そうした自己肯定感が自分の取り組むテーマであると決めたことが転機となり、色々な取り組みが始まりました。かしこい・かわいいだけじゃなく、それぞれの存在が良いんだと思うためには何が必要なのかと考えたら、”教育”ではないかという結論になりました。(認定NPO法人)カタリバに行き、色々と考えていくなかで、もっと根本のところに興味を持ちました。そして、家族から「賢いから素敵」と思われるのではなく、「見守ってるよ」と思われている自信を持つことができたら、世の中にも自信を持って出ていけると考え、manmaを作りました。
私たちはつい、遠い問題や目の前の就職・キャリアのことしか考えようとせず、家族のこをと考えていません。家族は人を育てる大事な組織なのに、多くの人が何も考えないまま世の中に出て行くのが疑問になったんです。そこで、仕事だけではなく結婚・出産・子育ての話も聞けるようにするため、家族留学を始めました。(※家族留学…mammaが実施する、女子大生と子育て中の家庭をマッチングする取り組み)最初から社会課題に関心があったわけではありませんが、そのへんにいる共働きの家庭にお願いして、そのへんにいる悩んでる学生とマッチングするという簡単なモデルから始められました。なので、興味・関心は、何かをやっていく中で見つかるんじゃないかと思っています。

 

後藤:

僕以外の3人も皆さんそうですが、「そこに人はいないが、どうにか人に関心を持ってもらい、参加してもらう」というのがキー。これは、日本と世界の間の隔たりです。僕は先進的に国民の政治参加を進めている国の団体の視察をしていますが、そこで感じたのは、人数が少なくても政治が回るのは政治参加が進んでるからだ、ということです。日本では「政治行こうぜ」と言うのは上から目線で嫌だなと思われますが、政治家が少ないと自分たちも参加しなきゃいけないんです。おのずと参加したくなったり、自分のやったことや言ったことが社会や地域に貢献していると感じられる経験が大切です。SDGsへの参加を日本でやるのは難しいですが、僕の結論としては、大きな課題に対して自分の本当の興味分野ややりたいことを見つけるのが大切だと思います。

ysf2016ss4_渡邉様

福村:

その通りだと思います。いいメッセージですね。僕は、公聴会に若者が呼ばれ始めるというような機運が世界的にあるのかなと思っています。そこで、海外と比較して日本の若者が進んでないのがなぜだと思われますか。

 

新居:

私の場合はやっぱり、「若い世代を巻き込まなきゃ」という危機感を大臣クラスの人が持っているというのが大きいと感じます。SDGsに関してもそうだと思います。私の場合は少子化対策がテーマなので、大臣が20代を入れたいということで声をかけてくれました。なので機運はあると思っています。
今まで若者が参加できなかったのは、意思表示をしてこなかったからです。みんな、何かしらの課題意識はあるはずです。「おっさん違う!」とか「国の方針違う」と思うことがあっても、声をあげなかったら、大人は声を拾えません。私が政府に呼ばれた理由は、「私は興味がありますよ」とずっと発信し続けた結果、若い世代でも課題意識を持っているということに気づいてくれたからだと思っています。

 

後藤:

その通りだと思います。ところで、僕には絶対に言わない二つの言葉があるんです。それは「政治に関心持ってください」「投票にいってください」。政治では若者という層がマイノリティであり、また政治に無関心という社会課題があります。僕もまず、意思表示を喚起していくことが重要だと思っています。ただ、政治に関心持つとどうなるのか示すなど、目の前のことにアプローチするのではなく、僕たちは未来への投資を行いたいと思っています。

福村:

最後に、パネラーの4人から参加者のみなさんへメッセージをいただきたいです。パネラーとしてではなく、ともに推進していく若者として、どのようにやっていきたいですか。

 

渡邊:

私はみなさんと年が離れているけど(笑)、本気の想いがあって、それを受け取ってくれる人がいたらいいんじゃないかな。それが10年後に代わってもいいと思います。色々な人との出会いを経験してください。
後藤:

僕は全然チェンジメーカーではありません。そういうリーダーは、ある種の才能とか、選ばれた人がなることが多いと思います。だから僕は、フォロワーシップが重要だと考えています。政治って、興味を持つことさえ難しいです。でも、日常の気づきはあると思います。そういう気づきを発揮できる場所がないことが問題なんです。要はリーダーに任せてついていくのではなく、フォロワーシップ発揮し、一緒にやっていくのが大事です。みなさんとも一緒にやりたいと思っているので、よかったら興味がある人は、おもしろい政治の授業を一緒に届けにいきましょう。

 

正能:

大人になればなるほど、何かを捨てないといけないですよね。出産をしたいけど仕事が…とか。その反面若者は、想いだけで行動できるから身軽なんです。だから、想いがあれば実現しようとしてみるべきです。また、たとえば私の場合、地方のものをかわいくしたいと言ったとき、それを言うのがおばちゃんだったら「ふーん」と返されてしまうと思います。でも私が若者だから、大人は無条件で力を貸してくれます。
そうやって、若さを自分なりに価値化していくことがポイントですね。

 

新居:

助けてくれた人がいるからこそ自分がいるって感覚は、皆さんにもあると思います。私自身、内閣府の委員というのは、身の丈以上だとわかっています。プレッシャーも感じますよ。でも、それは私に価値があるからではなく、若い世代へ期待しているからなんです。内閣府の会議も傍聴席があるので、結婚についておじさんがどんな議論をしているか、ぜひ聞きに来てほしいです(笑)。私が後藤くんのパッションによって最後まで「ぼくいち」をやろうと思えたみたいに、刺激しあえる仲間がいたら素敵ですね。今回の場がそのようになったらいいなと思います。ありがとうございました。

 

 


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